【認知症の罹患率と飲料水に含まれるリチウムとの関連】

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    JUGEMテーマ:認知症

     

    認知症の罹患率と飲料水に含まれるリチウムとの関連

     

    〈背景と目的〉 これまでの動物実験から長期的なリチウム投与が学習や記憶を改善するとの報告があり,ヒトでの観察研究でも,継続的なリチウム治療が双極性障害の患者の認知症発症リスクを低減させ得ることが示唆されている。

    また,より低用量のリチウムがヒトの認知機能に影響したという報告も見られる。本研究では,一般人口集団における認知症の罹患率が,飲料水中のマイクロレベルのリチウムへの長期的曝露によって変動するかどうかについて調査を行った。

     

    〈方法〉 データは,デンマークに在住する560万人全員に割り当てられた個人識別番号を用いてデンマークの全住民ベースの登録にリンクさせることにより集め,1970年1月1日〜2013年12月31日の期間に認知症の診断で病院を受診した50〜90歳の全患者と,年齢・性別をマッチさせた対照者によるコホート内症例対照研究を行った。

     

    151ヶ所の給水場での飲料水のサンプルを用いて,クリギング法に基づき全国的なリチウムの摂取量を推定し,デンマークの275の自治体ごとのリチウムレベルを算出し,全ての研究参加者の1986年以降の居住地に基づいてリチウムへの平均曝露量を推定した。

     

    入院または外来での認知症の診断を主要評価項目とし,アルツハイマー型認知症及び血管性認知症の診断を副次評価項目として,認知症患者と対照者の間でリチウム曝露量の分布を比較した。

     

    〈結果〉 73,731名の認知症患者と733,653名の対照者が本研究に組み込まれた。

    認知症患者群と対照群では平均リチウム曝露量の分布は有意に異なっており,患者群では中央値11.5μg/L,四分位範囲6.5-14.9μg/L,対照群では中央値12.2μg/L,四分位範囲7.3-16.0μg/Lであった(p<0.001)。

    Cox比例ハザード回帰モデルでの解析では,曝露量2.0〜5.0μg/Lの群と比較して,認知症の罹患率比は,15.0μg/L以上の曝露群[0.83,95%信頼区間(CI):0.81-0.85;p<0.001],10.1〜15.0μg/Lの曝露群(0.98,95%CI:0.96-1.01;p=0.17)では低いものの,5.1〜10.0μg/Lの曝露群(1.22,95%CI:1.19-1.25;p<0.001)では有意に高いという非線形の結果となった。

    アルツハイマー型認知症と血管性認知症それぞれについての解析でも同様の結果が得られた。

     

    〈結論〉 本研究は飲料水中のリチウムと認知症の罹患率を調査した初めての研究である。その結果は,飲料水中のリチウムへの曝露が長期的に多いことは,認知症の罹患率を非線形的に低減させる可能性を示唆するものとなった。

    しかしながら,居住する自治体に関連した環境因子や公的介護に関する因子などの交絡因子による影響については,本研究では除外することができていない。

     

    KESSING, L. V., GERDS, T. A., KNUDSEN, N. N., et al. Association of Lithium in Drinking Water With the Incidence of Dementia.  JAMA PSYCHIATRY, 74, 1005-1010, 2017

    < PSYCHOABSTRACT 2018 No.2 P.18訳赤石怜>

     


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